@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00010404, author = {岡, 宏充}, issue = {5}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {May}, note = {近年, 大腸上皮性良性増殖性病変の中で, 腫瘍化のポテンシャルはないと考えられてきた過形成性ポリープ (hyperplastic polyp) (HP) の病理診断や生物学的性格についての再検討がなされるようになってきた. 従来の病理診断ではHPとされる病変の中で, 腺管構造や細胞増殖動態の異常を伴うものは, sessile serrated adenoma (SSA) と呼ばれ, HPからは独立した病変単位として認識されている. これまでの分子病理学的研究から, SSAはMSI大腸癌の前駆病変として注目されている. 本研究では, 内視鏡的摘除大腸早期癌820例を対象に, SSAを発生母地とする大腸癌の頻度と臨床病理学的特徴, および癌化例SSAの粘液形質, p53蛋白過剰発現, ミスマッチ修復遺伝子関連蛋白発現, を検討した. SSA併存早期癌の頻度は13/820 (1.6%) であったが, 発生部位により違いがあり, 右側大腸では10/253 (4.0%), 左側大腸では3/567 (0.5%) であった. SSA併存癌は他の早期癌に比べ右側大腸に好発し, 腺腫併存癌に比べ表面型または表面型複合型の頻度が高かった. 表面型病変は隆起型に比べ内視鏡的発見が必ずしも容易ではなく, SSA併存癌の頻度は過小評価されている可能性がある. 癌化例SSAはSSA部, 癌部ともに全例で胃型粘液形質を発現していた (MUC5ACもしくはMUC6が陽性). p53蛋白過剰発現とミスマッチ修復遺伝子関連蛋白 (hMLH1, hMSH2) の発現消失は癌部のみにみられ, それぞれ7/13 (53.8%) と4/13 (30,8%) の頻度であった. SSA併存癌部の免疫染色結果は発生部位により違いがあった. 右側大腸病変ではMUC6発現 (90%) とミスマッチ修復遺伝子関連蛋白の発現消失 (40%) を特徴としていたのに対し, 左側大腸病変ではMUC6発現やミスマッチ修復遺伝子関連蛋白の発現消失を示したものはなく, p53蛋白過剰発現を全例に認めた. 以上のことから, SSAを発生母地とする大腸癌の割合は低いものの, 右側大腸では少なくとも4%を占めることから, 右側大腸発生のSSAに対しては内視鏡的摘除も治療選択肢として考慮すべきと考えられた. SSAの癌化経路の背景分子メカニズムは一様ではなく, 発生部位により異なる可能性が示唆された.}, pages = {276--286}, title = {大腸sessile serrated adenoma (SSA) の臨床病理学的・免疫組織学的研究}, volume = {124}, year = {2010} }