@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00010262, author = {坪井, 清孝}, issue = {11}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Nov}, note = {食道扇平上皮癌は異形成 (dysplasia) と呼ばれる異型扇平上皮を前癌病変とし, それが上皮内癌 (carcinoma in situ: CIS) を経て浸潤癌に進行すると考えられている. Dysplasiaは軽(low-grade dysplasia: LGD) と高度 (high-grade dysplasia: HGD) に大別されるが, そのいずれが, 食道扇平上皮の発癌早期段階かは明らかではない. このことを明らかにするため, 本研究では, 食道扁平上皮癌で高頻度にみられるp53遺伝子異常に着目し, 扁平上皮癌とそれに併存する上皮内腫瘍 (LGD, HGD, CIS) のp53遺伝子変異および同蛋白過剰発現を検討した. 内視鏡的摘除ホルマリン固定食道扇平上皮癌10例 (粘膜固有層浸潤癌: M癌4例, 粘膜下層浸潤癌: SM癌6例) を対象とし, LGD, HGD, CIS, M癌部, SM癌群別にp53免疫染色を評価し, それぞれの領域からマイクロダイセクションによりDNAを抽出し, p53遺伝子のエクソン5~8をPCRで増幅し, シークエンス解析により同遺伝子変異を検索した. p53遺伝子変異はLGDの83.3%, HGDの50.0%, CISの71.4%, 浸潤癌部の50.0-75.0%に認められた. LGDとHGDでは, 1例を除き, 同一病変内に併存するCISおよび浸潤癌部と変異コドンが共通するか, もしくは両者とも wild-type であった. これらのことから,p53遺伝子変異の観点からみた限りは, LGDおよびHGDは同一病変内のCISや浸潤癌部と組織発生学的連続性があることが推定された. 同一病変内のCISと浸潤癌部では遺伝子変異は単一の変異コドンに生じていたが, LGDとHGDでは変異コドンに多様性 (複数の変異コドンが存在) がみられた. LGDとHGDは異なるp53遺伝子変異を持つ複数の細胞集団から構成され, それらがクローン選択を経て均一なp53遺伝子変異パタ-ンを持つCISとなり, 粘膜固有層へ浸潤すると考えられた. 本研究結果から, LGDの段階で既にCISや浸潤癌と共通するp53遺伝子変異を来した細胞集団が含まれていることが推定され, LGDを食道偏平上皮の発癌早期段階として位置づけることが可能であり, LGDに対しては積極的な臨床対応が必要と考えられた.}, pages = {627--637}, title = {食道扁平上皮癌早期病変のp53遺伝子変異に関する研究}, volume = {124}, year = {2010} }