@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00010260, author = {志賀, 篤}, issue = {11}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Nov}, note = {脳小血管病は, 高齢者において良く見られる疾患であるが, その分子病態機序は不明である. 近年我々は, high –temperature requirement A serine peptidase 1 (HTRA1) 遺伝子の変異が, 遺伝性脳小血管病である cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy (CARASIL: 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体劣性遺伝性脳動脈硬化症) を引き起こす事を明らかとした. HTRA1はセリンプロテアーゼ活性を持ち, 活性依存性に transforming growth factor-β (TGF-β) シグナルを抑制する機能を持つ. これまでに我々は, 疾患関連変異型HTRA1はTGF-βシグナルを抑制できず, 加えてCARASIL患者の脳中血管において, TGF-βやTGF-βシグナルの亢進を示すEDA-Fibronectin, versican が増加していることを明らかとした. これらの知見から, CARASILにおける脳小血管病変はTGF-βシグナルの亢進に起因すると結論した. しかし, HTRA1によるTGF-βシグナルの抑制機序は明らかではない. TGF-β活性の調節は次のように, 主に細胞外で行われる. TGF-βは前駆体TGF-β (pro-TGF-β) として産生され, 前駆体蛋白分解酵素であるfurinによってlatency-associated protein (IAP) と成熟型TGF-β (mature TGF-β) に分解され, 不活性型である非共有結合性の複合体 (latent型TGF-β) を形成する. latent型TGF-βは細胞外に分泌され, 細胞外マトリックスに蓄積し, 必要に応じて matrix metalloproteinase 等により活性化されることにより調節される. 今回私は, ゲンタマイシン処理によりR370X変異を持つCARASIL患者由来繊維芽細胞の内在的HTRA1の発現を回復させることにより, HTRA1が mature TGF-βには作用せず, pro-TGF-βに作用することを示した. さらに, その場は細胞内, 小胞体であり, HTRA1がpro-TGF-βと結合し, それを分解し, mature TGF-βの量を減少させる事を明らかとした. 一方, 疾患関連変異型HTRA1はpro-TGF-βとの結合能は保っているが, 分解は出来なかった. 今回我々が明らかとした, HTRA1による細胞内でのpro-TGF-βの分解を介したTGF-βシグナルの調節は, 今まで知られているTGF-βシグナルの調節因子とは異なる, 新しい調節機序である.}, pages = {601--613}, title = {HTRA1は前駆体TGF-β1 (pro-TGF-β1) を小胞体で切断する事によりTGF-β1シグナルを調節する}, volume = {124}, year = {2010} }