@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00010240, author = {前田, 宜俊}, issue = {12}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Dec}, note = {マウスにおける発生工学の発展により, 様々な人為的な操作を施した遺伝子改変マウスが多数作成されている. これらの遺伝改変マウスを省力的なかたちで長期間維持するとともに効率的に活用することを目的に, 胚や精子を凍結保存しておき, 必要に応じて個体に復元して供給する肝・配偶子バンクの整備が進められてきた. しかし, 遺伝子改変マウスの中には, 繁殖能が著しく低いものや若齢期に何らかの疾患を発症して死亡するために初期胚を得ることが難しく, 系統の継代が困難なものも多く含まれている. これらの個体から産仔を得る手段として卵巣移植法が見直され, さらに系統保存法として卵巣の凍結保存が注目されている. マウスの卵巣移植法は, ほぼ確立された技術である. 一方, 卵巣の凍結保存法は, いまだ開発途上であり, 専用の保存液は開発されておらず, 初期胚の凍結保存液やその方法を一部改変して行われているのが現状である. 2003年にMigishimaらは, マウス初期胚で使用されているDAP213保存液を用いて卵巣の凍結保存を行い, 融解後にレシピエントに移植して再現性のある成績で凍結卵巣由来の産仔を得ることに成功した. しかし, DAP213保存液への浸漬処理時間の検討は今後の課題として残されていた. なお, 凍結保存液に含まれる凍害保護剤には細胞毒性があることが知られており, 卵巣の浸漬時間が長すぎると卵細胞等に対する悪影響の危険性が増加し, 逆に短ければ凍害保護剤の組織内部までの浸透が不十分となり保護効果が得られないことになる. そのため, DAP213保存液への浸漬処理時間の検討は重要であると考えた. そこで本研究では, 卵巣のDAP213保存液への至適な浸漬処理時間を組織切片標本により解析したところ, DAP213保存液に30分および60分浸漬して凍結した卵巣組織は, 未凍結組織と同等な保存状態にあることがわかった. また, これらの条件で凍結・融解した卵巣をレシピエントに移植して得られた産仔数は, 未凍結卵巣の成績と比較しても有意差はなく, 組織標本による評価と一致した結果を得た. さらに, これまでに報告されている4種類の保存液を用いて凍結・融解し, 移植を行った卵巣による平均産仔数を比較したところ, VSED保存液 < EFS保存液 < DAP213保存液 < ESVS保存液 < 未凍結の順に多くなったが, ESVS保存液とDAP213保存液の間に有意差はなかった. 以上の結果より, マウス卵巣の凍結保存において, DAP213保存液へ30分浸漬した条件で良好な成績が得られることが明らかとなった.}, pages = {691--702}, title = {マウス卵巣の凍結保存に関する研究 : とくにDAP213保存液の処理時間と各種保存液の効果について}, volume = {124}, year = {2010} }