@article{oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00010034, author = {杉山, 清佳}, issue = {4}, journal = {新潟医学会雑誌, 新潟医学会雑誌}, month = {Apr}, note = {脳の神経回路は, 生後の体験・経験により成長することが知られている. 視覚や聴覚といった五感の機能や, 母国語の習得に関わる神経回路は, 幼年期の限られた時間「臨界期」の経験によって形威される. マウスを生後から暗所で飼育して視覚経験を遮断すると, 機能的な神経回路の形成を担う「臨界期」が遅れ, 視力が未発達になってしまう. つまり, 個々の経験が視覚能力を発達させると考えられ, そのために個々の経験の積み重ね具合をはかる「秤」が, 脳内に存在すると推測される. 近年, 胎生期に脳を作る遺伝子が, 幼年期にも経験量をはかる「秤」として働くことが発見された. この遺伝子によって作られるOtx2ホメオ蛋白質は, 視覚経験によって大脳の視覚野へと運ばれ, 視覚野の介在細胞の中に蓄積される. Otx2ホメオ蛋白質は介在細胞の機能を成熟させる役割を持ち, 視覚野の臨界期を促す. すなわち, 経験を積みOtx2ホメオ蛋白質が大脳に移動して初めて, 大脳は正常に臨界期を迎え発達すると言える. さらに, Otx2ホメオ蛋白質を外部から操作することにより, 臨界期を人為的に制御することに成功した. Otx2ホメオ蛋白質の新しい作用機構の発見は, 神経疾患 (弱視等) の症状を軽くするための新治療法の開発に貢献することと期待される.}, pages = {175--179}, title = {「脳の柔軟性」を生む分子メカニズム : Otx2ホメオ蛋白質の新しい役割}, volume = {125}, year = {2011} }