2024-03-28T20:35:31Z
https://niigata-u.repo.nii.ac.jp/oai
oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:02000123
2022-12-15T04:35:34Z
453:456
471:537:538:1638942799896
末梢血単核球の,低酸素低糖刺激による脳組織保護的特性獲得機序の解明
Therapeutic Aspects Against Neural Tissue Using Peripheral Mononuclear Cells Preconditioned by Oxygen : glucose Deprivation
二宮, 格
Ninomiya, Itaru
open access
脳梗塞
細胞移植療法
末梢血単核球
低酸素低糖刺激
PPARγ
VLA-4
MCP-1
近年,細胞療法の研究が盛んに行われているが,その治療メカニズムは多面的と考えられている.著者らのグループらは,ミクログリアや末梢血単核球(PBMC)に軽度の脳梗塞類似の刺激,すなわち低酸素低糖刺激(OGD)により,これらの細胞が保護的な極性に変化することを見出した.また,OGD刺激を施したPBMC(OGD-PBMC)を,脳梗塞7日後のラットに,頸動脈投与することで,機能予後を著明に回復させることを報告した.しかし,OGD-PBMCが血液脳関門(BBB)を透過し,脳組織保護的に作用する機序が明確ではなかった.今回OGD-PBMCの,BBB透過と脳組織保護作用獲得機序の分子機構について検討した.ラット末梢血からPBMCを遠心分離し,18時間OGD刺激(OGD-PBMC),あるいは18時間通常培養(Normoxic-PBMC)を行った.培養馴化培地または細胞溶解物を用い,ウエスタンブロッティングによる半定量評価にて,保護作用獲得機序を解明するために次の要因について評価した.血管新生,軸索進展を誘導する血管内皮増殖因子(VEGF),抗炎症性サイトカインであるトランスフォーミング増殖因子(TGF-β),抗炎症性因子を誘導する転写因子PPARγ,炎症性PBMCの細胞表面マーカーであるiNOS,さらに組織保護的PBMCの細胞表面マーカーであるCD206.脳内移行性獲得の評価のため,細胞接着因子であるα4β1—インテグリン(VLA4)について,PBMCの免疫染色を行った.また,単球化学誘引物質タンパク質—1(MCP1)についてウエスタンブロッティングによる半定量評価を行った.各々の細胞の培養馴化培地のVEGFの分泌は,OGD-PBMCでは認められたのに対し,Normoxic-PBMCでは認められなかった.またTGF-βの分泌は,OGD-PBMCではNormoxic PBMCと比較して,亢進していた(p=0.044).各々の細胞溶解物では,PPARγは,OGD-PBMCで発現が増加していた(p=0.001).炎症性の単球/マクロファージに対する,抗炎症性の保護的な単球/マクロファージの極性化を反映しているCD206/iNOS比は,Normoxic PBMCと比してOGD-PBMCでは6倍に増加していた(p=0.023).VLA4陽性PBMC細胞数は,Normoxic PBMCと比し,OGD-PBMCでは増加していた(p<0.001).また,MCP-1はNormoxic-PBMCに比しOGD-PBMCで分泌が亢進していた(p=0.006).以上からOGD-PBMCでは,PPARγ上昇により細胞保護的な特性をもつ種々の成長因子,サイトカインの分泌を亢進することを示した.また,OGD-PBMCの脳内への細胞移行の促進は,細胞接着因子VLA-4の発現増加及び走化性因子MCP-1の分泌の亢進を介している可能性が示唆された.
新潟医学会
2020-03
jpn
departmental bulletin paper
VoR
http://hdl.handle.net/10191/0002000123
https://niigata-u.repo.nii.ac.jp/records/2000123
AN00182415
0029-0440
新潟医学会雑誌
134
3
79
89
https://niigata-u.repo.nii.ac.jp/record/2000123/files/134(3)_79-89.pdf
application/pdf
3.69MB
2021-12-08