2024-03-29T02:20:55Z
https://niigata-u.repo.nii.ac.jp/oai
oai:niigata-u.repo.nii.ac.jp:00009374
2022-12-15T03:56:46Z
453:456
471:537:538:933
超硬合金肺の臨床病理学的検討
超硬合金肺の臨床病理学的検討
Clinicopathological Study of Hard Metal Lung Diseases
李, ケイ
超硬合金肺
巨細胞性間質性肺炎
通常型間質性肺炎
元素分析
超硬合金は, タングステンとコバルトを主成分とする合金である. 超硬合金は, ダイヤモンドに匹敵する硬度をもつため, 金属の切削, 研磨, 加工などに広く使用されている. 超硬合金暴露により, 職業性喘息, 過敏性肺臓炎様症状, 次いで間質性肺炎を発症する. 通常, 超硬合金吸入によって引き起こされる間質性肺炎を超硬合金肺と呼ぶ. 超硬合金肺では, 巨細胞性間質性肺炎(GIP)が特徴的な病理所見であるが, 進行すると線維化が進み蜂巣肺に至る. 蜂巣肺は通常型間質性肺炎(UIP)パターンに特徴的な所見であるが, GIPが進展してUIPパターンになるかどうかは明らかでない. 超硬合金肺にみられるGIPとUIPパターンとの関係を明らかにするため, 超硬合金肺と診断された症例を後ろ向きに検討した. 症例は, 第10回東京びまん性肺疾患研究会において集められ, 肺組織中に超硬合金成分が検出された19症例を対象とした. 診療録上で, 年齢, 性別, 超硬合金暴露期間, 既往歴, 症状, 身体所見, 血液検査成績, 呼吸機能検査, 気管支肺胞洗浄(BAL)検査, 治療と予後などを後ろ向きに調査した. 肺組織は二名の病理医が臨床情報なしで独立に病理診断を下し, 両者の診断が一致しない場合は, 討議により統一診断を決定した. 肺組織内の超硬合金成分の検出には, 波長分散型電子線マイクロアナライザーを使用した. 二群間の定性的データの比較にはカイ二乗検定あるいはフィッシャーの直接確率法を, また定量的データの比較にはマン―ホイットニーのU検定を用いた. 19症例の平均年齢は46.4歳, 男性12名で, 3例にのみ過去喫煙歴がみられた. 全例が超硬合金の暴露歴を持ち, 平均暴露期間は121.2月(10.1年)であった. 肺組織の病理学的検査では, 11例のGIPに加え, 小葉中心性炎症/線維化, UIPパターン, 上葉線維化などがみられた. 元素分析では, Wの他にCoやTaなどが検出された. 19例を, GIP11例と小葉中心性炎症/線維化3例を含む14例と, それ以外の5例との二群に分けて比較すると, 前者は後者に比べ, 有意に診断時の年齢が低く, 曝露期間が短く, 血清KL-6値が低く, BAL中のリンパ球比率が高いことが示された. 以上の結果から, これらの二群は異なる病態である可能性が示唆された.
新潟医学会
2013-03
jpn
departmental bulletin paper
http://hdl.handle.net/10191/35914
https://niigata-u.repo.nii.ac.jp/records/9374
AN00182415
00290440
新潟医学会雑誌
新潟医学会雑誌
127
3
133
140
https://niigata-u.repo.nii.ac.jp/record/9374/files/127(3)_133-140.pdf
application/pdf
1.6 MB
2019-08-06